電波を使用する音声アシストシステムの導入について
近年、障害者や高齢者の円滑な社会参加を目的として、安全で快適に不便なく
各施設・公共交通機関・歩道等を利用できるような環境整備が求められています
が、特に、視覚障害者は、歩行に必要な視覚情報の獲得が著しく困難です。
このような背景から、視覚障害者が受信機を携帯し、聴覚からの情報により歩
行行動支援を受けるための情報伝達手段として活用できる音声アシストシステム
の技術的条件についてご審議いただき、9月25日、答申を受けました。
今回取りまとめた音声アシストシステムの主な特長は以下のとおりです。
全国で同一周波数を利用することにより、全国共通のランドマーク(目
印)の構築が期待できる。
広帯域伝送のため、市街地においても良好な音質が確保できる。
FM放送に隣接した周波数帯を利用することにより、FM受信機との一
体化も可能となる。
視覚障害者支援のみならず美術館、博物館等での案内用としても利用で
き、システム上汎用性がある。
郵政省は、9月25日、電気通信技術審議会(会長:西澤 潤一 岩手県立大学学長)
から「電波を使用する音声アシストシステムの技術的条件」について答申を頂きました。
その概要は、以下のとおりです。
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周波数帯
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70MHz帯
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通信方式
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同報通信方式
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変調方式
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周波数変調
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空中線電力
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10mW以下
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変調周波数
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7kHz以内
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最大周波数偏移
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(±)40kHz以内
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占有周波数帯幅
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100kHz以下
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空中線利得
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絶対利得(-)10dB以下
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【効果】
重度の視覚障害を持つ者は、視覚情報を得ることが難しいことから、単独で歩
行できる場合でも、ほとんどの人は全く知らない場所ではなく、あらかじめ介護
者同伴で歩行をし、自らの頭の中に音、におい、点字ブロック等を目印とした地
図を作成(イメージマッピング)した後で、白杖、盲導犬を利用した歩行を可能
としています。
また、視覚障害者へのアンケート(参考資料)からは、単独歩行が可能な視覚
障害者の場合、駅の券売機や券売窓口の位置、バス停の位置や行先情報、公共施
設の入口位置やサービス情報、といった情報が外出先で入手可能ならば、単独歩
行の範囲がより拡大する、との結果が得られています。
そのような役割を果たす情報提供設備として、音声による場所案内や注意事項
等の情報を伝送するシステムもありますが、情報を必要としない人にとっては雑
音になる、等の苦情があり、普及が進まない要因の一つとなっています。
このような状況を踏まえて、視覚障害者の行動を助けるシステムの導入が急務
となっております。